積丹町でも、いよいよ春がピークを迎えようとしています。
これから花々が一斉に咲き始める季節ですが、その少し前に、森や野原では生きものたちがひと足早く動き出しています。まだ少しひんやりとした森の中で感じる、春のはじまりを、今回は少しだけご紹介します。
森を歩いていると、ふと視界に入るカラフルな青い羽。よく目を凝らしてみると、木の幹に溶け込むように鳥がとまっていました。
茶色い頭は木肌になじんで見つけにくいのですが、鮮やかな青い羽だけがひょっこり見えているのが印象的です。
この鳥は「カケス」。
森の中では「ギャーギャー」とにぎやかに鳴くことで知られています。
実はとても器用で、ほかの鳥の鳴き声や、人の出す音まで真似をする「モノマネ上手」です。また、青い羽が抜け落ちて地面に落ちていることもあり、そんな小さな発見も森歩きの楽しみのひとつです。


北海道を代表する野鳥のひとつ、「クマゲラ」にも出会いました。
森の中を歩いていると、遠くから響く「コンコンコン」という音。もしやと思い双眼鏡をのぞくと、木の幹にとまる黒い大きな姿が見えました。
クマゲラは、日本最大のキツツキ。その力強いくちばしで木をつつき、木の中にいる昆虫や幼虫を食べたり、巣穴をつくったりしています。実はこの「穴あけ」が、森にとっても大切な役割を果たしています。クマゲラが開けた巣穴は、あとからフクロウや小さな鳥たちが利用することもあり、「森の住まいづくり」を担う存在でもあります。
ちょうど4月から6月にかけては主に繁殖の時期。とても警戒心が強い鳥なので、見かけたときは無理に近づかず、そっと距離を保って見守ることが大切です。

森を抜けた先では、キツネの姿も見かけました。
まだ少し冷たい春の空気の中、日当たりの良い場所で気持ちよさそうにひなたぼっこしていました。ふわふわの毛並みが光に照らされて、とてもやわらかく見えます。
冬のあいだにふさふさだった毛も、これから少しずつ夏毛へと生え変わっていく時期です。季節の変化は、動物たちの体にもはっきりと現れ、生き物観察が面白い時期になりました。

春の訪れをいち早く知らせてくれるのが「フクジュソウ」です。
雪解けのあと、どの花よりも早く黄色い花を咲かせるその姿は、春の合図をだしてくれているようです。
実はこの花、太陽の動きを追うように花の向きを変えていく性質があり、パラボラアンテナのようといわれています。太陽の暖かさを上手に取り込みながら、まだ寒い初春を生き抜いています。
現在はちょうど見頃を終えかけていますが、そのあとを追うように、さまざまな春の花が一気に咲き始めまています。

淡い青色が美しいエゾエンゴサクは、早春のわずかな期間だけ地上に現れる「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」のひとつです。林床が明るいうちに一気に成長し、木々が葉を広げる頃には姿を消します。

可憐に並んで咲くキクサギイチゲも同じく春の短い時間を生きる植物です。積丹では毎年、エゾエンゴサクが見ごろを迎えるに続いて花を咲かせています。満開までもう少しです。

山の斜面にに目を向けると、ギョウジャニンニクの葉の中に、ひっそりとカタクリが混じっていることもあります。
カタクリは発芽から開花までに8年もかかると言われる、気の長い植物です。一輪一輪が、長い時間の積み重ねで咲いており、見かけると心穏やかな気持ちになります。

さらに、落ち着いた存在感のあるエンレイソウも姿を見せ始めました。笹薮の中で、ひっそりと咲いています。派手さはありませんが、森の雰囲気をぐっと引き締める存在です。

これから積丹では、花が一斉に咲き、鳥や動物たちの動きもさらに活発になっていきます。季節が進むごとに変わっていく風景と、生きものたちの営みを感じながら歩くと、同じ場所でも毎回違った発見があり、面白いのが魅力です。
そんな変化を、少しずつお届けしていきます。